近年、多くの日本人選手が日本から海を渡っている。
今だからこそ情報が溢れているから、海外でプレーするイメージもつくだろう。
しかし、ひと昔前はどうだったか。
プロサッカー選手になる為に、微笑みの国「タイ」に渡った馬場悠企に迫る。
タイでのプレーも8年目を迎えた。
恵まれた日本での環境
ー タイに来る前は、JFLの強豪だった佐川滋賀(2013に活動停止を発表)に所属していましたよね。当時の環境はどうでしたか?
大卒で入団したんやけど、給料は手取りで21万円で、出場試合数によって昇給、勝利給もあったかな?
仕事は週に1~2回くらいだったかなぁ。
ー ほぼ、プロですね(笑)
環境は恵まれてたと思うよ。
でも、プロサッカー選手として活躍したかったから、JFLでのプレーに満足した事は無かったな。
ー 佐川滋賀が活動停止する前、2012年にタイに渡ったのも、それが理由ですか?
そうだね。
佐川滋賀がプロリーグに所属するのは現実的では無かったからね。
当時、大学の同期が先にタイでプレーしていて、彼からタイリーグの事を教えてもらったんよ。
で、よし、次のシーズンにプロリーグに挑戦する為に、今から考え方からトレーニングまで全てプロ思考に変えていこうと。
日本でプレーしてたシーズンで一番充実してたと思うよ。
当時、JFLの強豪・佐川滋賀FCに所属した。(前列左端が馬場選手)
順風満帆なタイでのサッカー選手生活
ー タイに来る際は、もうプレーするチームは決まっていたんですか?
決まって無かったよ。
エージェントを紹介してもらって、トライアウト受けたんだけど、結構な数受けたなぁ。
6チームくらいかな?
ー どんなチームに練習参加していたんですか?
詳しくは覚えてないけど、最終的に当時2部のスパンブリーと契約したんよね。
スパンブリーを紹介してくれたのが、その前に練習参加してた1部のムアントンだった。
ムアントンで契約できれば月40万バーツ(日本円で120万円程度)の給料貰えるって聞いてたから、よっしゃーって思ってたんだけど、ムアントンのオーナーからスパンブリーのオーナーを紹介するからって言われて、スパンブリーに行く事になったんよ。
当時から、ムアントンはタイの中でもビッククラブだったから契約してたら、また違ったサッカー人生を歩んでたかもね。
スパンブリーFC(タイ2部)との契約が馬場選手にとって初めてのプロ契約となった。
ー タイでのプレーも今年で8年目になります。よく聞く給料の未払いだったり、突然の解雇とかは無かったんですか?
それね、俺に聞いても何も面白い事答えられへんぞ(笑)
俺がいたクラブは勝つ為にしっかりお金かけてた。
だから選手もモチベーションも高かったし、大きな問題も無かったね。
結果が出てなかったら、また違う形になってたかもしれへんけどね。
ー では、視点を変えて今までで一番待遇が良かった時期を教えてください。
月23万バーツが最高かなぁ。
その時所属してたチームはファンも多かったし、常にスタジアムも満員だったから、凄い雰囲気良かったよ。
今所属してるクラブはチームが練習や試合に必要な物を用意してくれるから、手ぶらで行って手ぶらで帰ってこれるような素晴らしい環境だよ。
ー 今まで沢山の移籍も経験していますが、オファーが来るんですか?
基本、エージェントが話を持って来てくれる。
あのチームが君の事、欲しがってるよって。
今所属しているチームの話が来た時は、大きいクラブだったし、ホンマかいな。と、思ったけど実際にオファーもらった時は嬉しかったなぁ。
タイ1部のチョンブリでもプレー。大学時代同期の櫛田選手(中央)と共にタイで戦った。
一度海外でプレーすると危機感が増す
ー タイのサッカー・私生活で意識している事はありますか?
サッカーはいかに効率よく点取れるか常に考えてる。
ボランチやから、常にゴール前に顔を出すのは難しいから、マイナスのクロスが来そうな時やクロスのこぼれが来そうな時にアクセル踏んでる感じ。
それを意識しだしてから、点も取れるようになった。
常に自分の価値を高めるのがプロだと思ってるから、結果にはこだわりたいよな。
私生活はストレスを溜めないことかな。
食べたい物食べて、やりたい事をやる。
今は脱毛にハマってます(笑)
無理せず自然体で生活する事がサッカーにも繋がってるかな。
ー 海外でのプレーを考えている選手にアドバイスを
これ難しいなぁ。。。
一度海外でプレーすると危機感が増す。
これは実際に経験しないと分からない。
日本でやるより、結果に対してシビアだし、何より外国人選手としてチームと契約しているわけやからね。
少しでも、やりたい気持ちがあるなら一度行ってみた方がいいと思う。
ー 今後の目標を教えてください。
今のチームはとてもいいクラブだから、出来れば来年も同じチームでやりたいな。
これまで毎年移籍を繰り返してきたから。
その為には、しっかり自分の居場所作らないとな。
日本から海外に行くのは、本当に勇気が必要なのは筆者も重々理解をしているのだが、こうやって情熱を持った選手の話を聞くと何が一番大事なのかが良く伝わってくる。
馬場選手のこれからの活躍に益々期待したい。
【氏名】馬場 悠企(バンバ ユウキ)
【生年月日】1986年8月2日生まれ
【出身地】滋賀県近江八幡市出身
【経歴】草津東高等学校→京都産業大学→SAGAWA SHIGA FC→SPHANBURI FC→BANGKOK FC→CHONBURI FC→BBCU FC→THAI HONDA FC→NAKHONPATHOM UNITED FC→TRAT FC→BG PATHUM UNITED